15.遺言の執行

遺言執行者
 遺言書に従って、預貯金を分けたり、相続登記をしたり、株式の名義を換えたりすることを、「遺言の執行」といいます。遺言を執行する人が「遺言執行者」です。
 
遺言者は、遺言で、1人または数人の遺言執行者を指定することができます。また、その指定を第三者に委託することもできます(1006条)。
 
遺言執行者が指定されなかったとき、または指定された遺言執行者が死亡その他の事由でいなくなったときは、家庭裁判所が利害関係人(相続人等)の請求によって、選任することができます(1010条)。
 
遺言執行者はおかなくても、また、相続人の1人がなることもかまいません。しかし、相続人が多数いたり、離れて暮らしている場合、手続きがスムーズに進まないおそれもあります。そうした場合には、遺言の内容を第三者の立場から忠実・公平に実行する遺言執行者を指定しておくことが望ましいといえます。
 
なお、未成年者・破産者は、遺言執行者にはなれません(1009条)。

遺言執行者の権限
 遺言執行者は、「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務」を有します(1012条)。
 
遺言執行者がいる場合には、相続人は、遺言の対象となった「相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為」が禁止されます(1013条)。この規定に反した相続人の行為は無効です。

遺言執行者の任務
 まず、相続人・受遺者に対し、遺言書の写しを添付して、遺言執行者に就任した旨の通知をします。次に、相続財産の目録を作成して相続人・受遺者に交付し、受遺者に対して、遺贈を受けるかどうかを確認します。預貯金等金融資産は解約・払戻しを、不動産は相続登記の手続きをして、遺言に従って相続人・受遺者へ財産を引き渡します。
 遺言による認知があった場合には、市町村役場に戸籍の届出をして(戸籍法64条)、相続人を廃除する旨の遺言(893条)があった場合には、家庭裁判所に廃除の申立てをします。

遺言執行者の解任・辞任
 遺言執行者がその任務を怠ったときなどには、相続人等の利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができます。遺言執行者の側でも、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(1019条)。


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