08.遺言の方式② ~ 公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を公証人に伝えて、公正証書(公証人が作成する書面)で作成する遺言です(969条)。公証人とは、ある事実もしくは契約・遺言書等の法律行為の適法性について、公に証明・認証する者です。全国各地域の公証役場に勤務しています。公証役場の所在地についてはこちらをご参照ください。
作成には、証人2名と手数料が必要となります。
公正証書の原本(※)は公証役場に保管され、遺言者には正本・謄本(※)が交付されます。原本が公証役場に保管されますので、紛失や改ざんの危険はありません。仮に正本・謄本を紛失した場合には、公証役場で遺言検索申請を行い、必要に応じて謄本を請求します。
(※)・原本とは、署名押印をした最初に作成された文書
・正本とは、権限のある者(公証人)が作成し、原本に基づき作成する謄本の一種
で、原本と同等の効力がある文書
・謄本とは、原本の内容を全部写して作った文書
公正証書遺言は、公証人との事前の打ち合わせを経るため、形式の不備で遺言が無効になるおそれはありません。また、家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので(1004条2項)、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。
自筆証書遺言は、全文自分で自書しなければなりませんので、病気等のため自書が困難となった場合にはすることはできませんが、公正証書遺言は可能です。署名ができない場合でも、公証人が遺言者の署名を代書することができます(969条4号)。また、遺言者が病気等のため公証役場に出向くことが困難な場合には、公証人に遺言者の自宅・病院等へ出張してもらい、遺言書を作成することもできます。
公正証書遺言は、自筆証書遺言と比較すると、安全・確実な方法であるといってよいと思われますが、内容が公証人・証人に知られること、費用のかかることが難点と言えます。
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