14.遺言が無効となる場合

方式違反がある場合(960条)
・自筆証書遺言に日付がない場合や本人の自書でない場合
・2人以上の者が同一の証書で遺言をした場合(共同遺言の禁止,975条) 

遺言能力を欠く場合
 まず、遺言者が満15歳に達していることが必要です(961条)。さらに、遺言をする時において単独で有効に遺言できる能力を有しなければなりません (963条)。
 つまり、遺言者が自己の自由な意思に基づいて、自己の財産を誰に取得させるのかを決める必要があります。認知症などが進んだ状態では自己の自由な意思で決めているとはいえないため、遺言をしても無効となる可能性があります
 
ただし、遺言能力があるか否かは、遺言時における本人の具体的状態に応じて判断されます。よって、認知症であるから必ず遺言能力が認められないというわけではありません。 遺言者の認知症の程度や理解力、遺言作成の動機や経緯、遺言によって生ずる法律効果の複雑性等から総合的に判断して、遺言者が遺言の効果を理解できるような場合には、遺言能力があると認められます。

遺言の内容に問題がある場合
公序良俗(※)・強行法規に反する内容は無効(90条)
(※)公序良俗とは、公の秩序と善良な風俗。社会における秩序と一般道徳観念のこと。

 
ただし、相続人でない者に全財産を遺贈しても、当然に無効になるわけではありません(最判昭和25.4.28)。なぜなら、遺留分侵害があれば、遺留分を有する相続人は遺贈の減殺を請求して(1031条)、遺留分を取り戻すことができるからです。したがって、相続人でない者に全財産を遺贈した場合は、遺留分減殺請求によってもなお相続人の生活維持を図れないようなときに公序良俗違反が問題になるにすぎません。
 
また、愛人に対する遺贈も、愛人関係の維持・継続でなく、愛人の生活保全を目的とするものであって、相続人らの生活基盤を脅かすようなものでなければ、公序良俗に反しないとされています(最判昭和61.11.20)。

・被後見人が後見の計算(870条)の終了「前」にした遺言で、後見人・その配偶者・直
 系卑属の利益になる内容は無効
 (後見人が直系血族・配偶者・兄弟姉妹の場合は除く、966条)



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