13.遺言の訂正・取消し

 遺言は遺言者の最終意思を尊重する制度ですから、訂正や取消しは、いつでも、また、何回でもできます(1022条)
 作成したときにはそれが最善と思った場合でも、その後の家族関係を取り巻く諸状況の変化に応じ、あるいは、自身の考えが変わったりして、訂正したり、取消したいと思うようになることもあるでしょう。さらに、財産の内容が大きく変わった場合にも、多くの場合、訂正した方がよいといえるでしょう。

 自筆証書遺言の場合、訂正には厳格な基準があるため、訂正箇所が多い場合には書き直した方が確実です。古い遺言書は破棄することによって取り消したものとされます(1024条)が、破棄しない場合でも、矛盾する部分については、新しい日付の遺言書が優先します(1023条)。

 公正証書遺言の場合、「原本」が公証役場に保管されているため、「正本」「謄本」を破棄しただけでは、遺言を取り消したことにはなりません。「以前の遺言を取り消す」という内容の新しい遺言書をつくる必要があります。

 公正証書で遺言の全部または一部を取り消すだけなら、手数料は1万1,000円です(公証人手数料令19条2項)。内容を変更するとさらに所定の手数料がかかりますが、変更の内容が「補充又は更正」の範囲であれば、所定の手数料の2分の1(以前と同じ公証役場なら4分の1)で済みます(同24条2項)。


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