14.遺産分割とは

遺産分割協議とは

 民法で法定相続分は定められていますが( → 相続人になる人とその相続分)、法定相続人全員の話し合いによって、法定相続分とは関係なく自由に遺産を分けることができます。遺産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」といいます。

 遺産分割協議で大切なことは、相続人全員で行い、全員が合意する、ということです。協議に参加しない相続人や、遺産の分け方に納得しない相続人がいる場合は、遺産分割協議は成立しません
 遺言がない場合は、遺産分割協議が成立し、不動産や預貯金などを誰が相続するか決定して、はじめて、名義変更等ができるようになります。

 遺産分割協議がどうしてもまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判の申立ができます。
 遺産分割調停については、こちらをご参照ください(裁判所のページにとびます)。


遺産分割の方法

 遺産分割には以下のような方法があります。

・現物分割 遺産を現物のまま分割する方法
 〈例 不動産を母、預金を長男、株式を長女が相続〉

・換価分割 遺産を売却・現金化して、その現金を分割する方法
 〈例 3,000万円の不動産を売却し、相続分に応じて代金を分配〉

・代償分割 特定の相続人が財産を相続する代わりに、他の相続人に対して金銭など
      を支払う方法
 〈例 長男が3,000万円の不動産を相続する代わりに、二男と長女にそれぞれ
   1,000万円ずつ現金を支払う〉


遺産分割に参加できない人がいるとき

 高齢化が進む中で最近よく問題となるのは、相続人の中に認知症の方など、遺産分割協議を自らの意思で行うことのできない方がおられるようなケースです。

 遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるので、当然それらの方も当事者として遺産分割協議に参加する必要があります。しかし本人は正しい判断をすることができない状態にありますので、そのような判断能力が不十分な方が遺産分割協議などの大事な場面で不利益を受けないように、成年後見人(または、保佐人・補助人)を選任してもらい、それらの方に代わりに遺産分割協議に参加してもらうことになります(民法859条)。

 成年後見人となった人も相続人の1人であり、また、後見監督人が選任されない場合には、自らの相続人としての立場と成年後見人としての立場で利益が相反するため、さらに特別代理人を選任する必要があります(民法860条)。

 また、相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者も遺産分割協議の当事者になります。この場合、原則として未成年者の親権者が遺産分割協議に参加します(民法824条)
 ただし、未成年者と親権者の利益が相反する場合、親権者の代わりに遺産分割協議に参加する特別代理人を選任しなければならなくなることがあります(民法826条)。

[民法]
(財産の管理及び代表)
第824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為に
 ついてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合
 には、本人の同意を得なければならない。


(利益相反行為)
第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を
 行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなけれ
 ばならない。
② 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子と
 の利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人
 を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

(財産の管理及び代表)
第859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為に
 ついて被後見人を代表する。

② 第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

(利益相反行為)
第860条 第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある
 場合は、この限りでない。


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☎078-959-5750 担当:三入(さんにゅう)



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